山本住職のシルクロード体験記
第3章 (第10部)
敦煌(トンコウ)市内散策
(現地2005年6月6日)

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甘粛省敦煌(トンコウ)DUNHUANG
市内散策
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   敦煌は砂の町です。市は雄大で美しい砂山の麓にあります。風で山肌を変化しながら、毎朝異なる顔を楽しませてくれます。たまたま、滞在中は強風がありませんでしたので、「砂嵐」は想像しかできませんが、あの細かい砂がところかまわず侵入し、視界も遮ってしまう様子はいかに困難な生活をこの地域の人々がされておられることを窺い知ることができます。

  客として訪問するのですから、長い年月のほんの数日過ごしただけなのに、まことに勝手な印象をつらつら書けるものだと、自分なりに呆れております。そこに住み、生活せざるを得ない民の人生観までは理解することはできません。ただ、過酷な生活条件であったからこそ頼りになった仏の教えは、その日々を生き通す支えになってきたことは確かです。

  さて、市内に戻り、少し現状をお見せいたしましょう。
鳴沙山 − 敦煌の朝 中心街
   商業的には、デパートやバザールなど買い物の場は多くあります。
 バスで通り過ぎざまに見た限りでは、夜の「お遊び処」も見かけられました。やはり観光収入が一番の稼ぎのようです。特に、オリンピックを控えて、その観客を引きつけるためには、住民はかなりの犠牲を払っております。そのためには、新しい施設が優先・優遇されている様子でした。

   敦煌の最初のページで申しましたように、この町には駅がありません。最寄りの駅は、トルファンからここへ来たときに下り立った、130キロ離れた現在の敦煌駅「(旧)柳園駅」です。聞くところによりますと、オリンピックに間に合うよう来年中にはその駅から市内まで線路を敷設するそうです。

敦煌市博物館
バイクで送られ登校する児童 町中で行商
   また、触れずには居られませんので書きますが、現在の敦煌空港は、広い砂漠の中に設置されております。しかしながら、その砂漠は、古代から使われてきた地域の人々の墓場なのです。その上に造られております。町に隣接した広い平らな土地があり、埋葬されている人々からは苦情も出ませんから、容易に設置できたように思われます。ただ、滑走路の両端のほんの数メートル先からは、延々と埋葬墓地が続いております。墓参の縁者を見かけましたが、旅客機の大型化に伴い、ゆくゆくはその方々の先祖の墓も滑走路の一部と移り行くことを思うと複雑ではないでしょうか。

周囲に墓が散在する敦煌空港 滑走路の西、同じ砂漠の市内側
つぎは敦煌最後のページで、鳴沙山と月牙泉へご案内いたします




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