山本住職のシルクロード体験記
第4章 (第11部) 最終回
敦煌莫高窟 Mogao Caves
(現地2005年6月7日)
PAGE 11 LAST PAGE
甘粛省敦煌(トンコウ)DUNHUANG
莫高窟 Mogao Caves
第172石窟
(PAGE 11) |
|
敦煌莫高窟、今回の研修でご案内することができます最後の第172窟です。
第172窟は、2つの点から大変重要であります。一つは、この石窟の阿弥陀如来の「観無量寿経変」壁画。そして、もう一つは歴史的なことで、中国当時の建物が詳細に描かれている点です。
この石窟の造営は盛唐(712〜781)です。
南北の壁に内容が同じ、観無量寿経変の浄土図が描かれております。
 |
第172窟の「観無量寿経変」 |
大仏殿、中仏殿、手前に大きな舞台があります。舞台では躍動的な舞をする姿が見られます。舞台の両側には、楽人が琵琶、笛、ハープなど様々な楽器を奏でております。この画の描写に当たり、透視画法・遠近画法がつかわれております。
建物の柱が水の中にあり蓮の花のつぼみが咲いているのが描かれています。日本の学者は京都宇治の平等院に似ていると話しますが、実はこの造りは唐の皇帝の宮廷様式を真似ています。故に、唐の時代の建築資料としては大変貴重な歴史的存在なのです。
極楽世界図としては、天女や飛天に特徴があります。下の方から舞い上がっており、手には蓮のつぼみを持っております。「飛天」の資料でよく見る姿はこの図にあります。帯のような細長く薄い衣の部分が綺麗です。また、琴、琵琶など様々な楽器も舞っており、極楽では、風さえあれば音楽が奏でられることが描かれております。
因果応報絵図も別にあります。
 |
観無量寿経変の浄土世界図 |
ご本尊 阿弥陀仏の両側には観音・勢至の両脇菩薩が詳細に描かれています。100以上の人物も集中的に描いてあります。
また、美術的観点からは、遠近法の配置など大変良くできているので、この石窟だけで一冊の書物になっているそうです。
日想観、月想観、水想観などの想観は16種類描かれているとのことでした。
なお、浄土経変に関しては莫高窟に他には阿弥陀経変が第120窟にあります。代表的な絵図です。
|
南北の内容は同じなのですが、描いた絵師が異なったので、描かれているものがちがいます。建築に関しては、南の図の方が簡単に描かれておりますが、実は下の方には天女の反弾琵琶図があるのです。
 |
敦煌市のシンボル「反弾琵琶」の原図は
この第172窟にあります |
なお、「反弾琵琶」の画は、吐蕃時代(古代チベット人王国)【7〜9世紀】の第112窟にもあります。
|
|
|
以上で、中国甘粛省敦煌にあります
千仏洞「莫高窟」のご案内を終わらせていただきます。
お立ち寄り、ありがとうございました。
2005−09−30 |
閉じる |
Copyright 2005, MYOUENJI.WS